2014年09月03日(Wed)

世界最強の素材「カーボンナノチューブ」を知ろう!

おじさん達の社会勉強のお時間です。
これから「カーボンナノチューブ」という言葉を耳にすることがあると思うので、すこし予習して若者にうんちくを語りましょう。

医学界の世界的大発見であるiPS細胞を最初に作った山中教授はノーベル賞を受賞しましたが、産業界にもそれに匹敵する大発見があります。
強度は鋼鉄の数十倍の強さを持ち、しなやかさはいくら曲げても折れず、薬品や高熱にも耐え、胴の100倍も電流を流すことができ、シリコンに勝る半導体としてコンピュータを高性能にし、エネルギー問題を解決する可能性まで秘めている。
そんなスーパーな材料「カーボンナノチューブ」が、1991年、日本の飯島澄男氏(現NEC特別主席研究員、産業技術総合研究所ナノチューブ応用研究センターセンター長、名城大学大学院理工学研究科教授)によって発見されました。
(飯島澄男氏はノーベル賞候補だそうです)
その大発見以来、カーボンナノチューブの製造や応用について研究が進められています。

カーボンナノチューブは、その名の通り炭素原子が円柱状に結合して出来るナノサイズのチュ−ブです。
イメージ図(Wikipediaより:電子顕微鏡でもこのようにはっきりと見えないが確認は出来る)
300px-Types_of_Carbon_Nanotubes.png

応用としては、自動車のバンパーやテニスのラケットなどで構造材として使われ始めています。
未来の応用としては、超高速のスーパーコンピュータなどもありますが、宇宙エレベーターの構想をご存じですか?
その名の通り、宇宙空間から地上までケーブルを垂らして、それで地上と宇宙を行き来しようというもの。
che004Fig03.gif
その最大の難関が、どんなケーブルを使っても自重に耐えられず切れてしまうことでした。
理論上は、地球の重力と自転の遠心力が釣り合ってケーブルは固定可能のようですが、鋼鉄のケーブルでは50km垂らすと自重で切れます。
宇宙エレベーターを作るためには5000kmでも切れない強度が必要だそうです。
しかし、カーボンナノチューブでケーブルを作れたら、宇宙エレベーターができるかもしれません。

課題
製造の難しさがあり、現時点では長いチューブや自由な形状にすることが出来ません。
長さは最大でも数ミリ程度。
したがって、車のバンパーなどに使う場合は材料に細かいカーボンナノチューブを混ぜて強度を向上させるようです。
これがどんな形でも作れるようになれば、産業革命に匹敵する可能性を持っています。
この先の成果が楽しみです。

もっと知りたい人はウィキペディアを参照
発見者の飯島さんは電子顕微鏡の研究者でもあり、天才的な洞察力の持ち主のようです。
発見者自らがカーボンナノチューブについて語る(NECのホームページ

炭素繊維[カーボンファイバー]との違い
物質の構造が全く異なります。
カーボンナノチューブは純粋に炭素原子のみで構成されるのに対し、炭素繊維はアクリル繊維などの原料を高温で炭化して作った繊維であり、炭素の他にも不純物が混ざっています。


健康被害を及ぼす恐れ
カーボン・ナノチューブ技術を用いた製品は、アスベストに似た健康被害を及ぼす可能性があることが報告されています。
自分で加工して何かに使いたい場合は注意が必要です。
日本では取り扱い者の健康を保全するために、「安全性試験手順書」と「作業環境計測手引き」が NEDO、技術研究組合単層CNT融合新材料研究開発機構、産業技術総合研究所らにより作成されています。
posted by エイ at 12:07 | Comment(3) | TrackBack(0) | エレクトロニクス
この記事へのコメント
 現在の機械工学における構造材料の耐久性に対する主な問題点は強度ではなく、摩擦にある。島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑(機械工学における摩擦の中心的モード)の原理をついに解明。名称は炭素結晶の競合モデル/CCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能な本質的理論で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後48Vハイブリッドエンジンのコンパクト化(ピストンピンなど)の開発指針となってゆくことも期待されている。
Posted by 先端科学GIC結晶の研究開発 at 2017年10月23日 23:08
 その方は、ダイセルの首席技師として本格的にトライボシステムの開発を開始しているようです。
Posted by 化学で未来を変えるのダ at 2018年01月21日 10:20
化学が機械工学の発展に貢献することは良くあることのようですが、期待が持てますね。
分子・原子レベルの研究が世の中を明るくしてくれることを願っています。
Posted by エイ at 2018年01月21日 13:24
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