2018年01月16日(Tue)

エルゴメーターにおけるワット数表示について

カヤックエルゴでの負荷表示をワット数で表示することは適当か?
という命題についての検討です。

2号機はエンジンの負荷を電力に変換することができます。
僕が漕いだ場合の電力計測値は、中負荷で40W、最大負荷で60W程度になります。

発電の効率(力の仕事率から電力へ変換される際のロスを考慮した効率)を60%として計算すると、
高負荷で継続可能な電力を50Wとして効率を考慮すると 50 ÷ 0.6 = 83(W) になります。
これはザックリとした計算で、正式には効率を正しく測定することとバンジーの張力も考慮する必要があります。
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実際に2019年1月のエルゴ選手権に出場したとき、エルゴメーターの測定値が88Wでした。
1000mレースなのでMAXパワーは出していませんが中〜高負荷で漕いでいます。
マスターズでも現役アスリート並のパワーがある人は400Wを越えていました。(200mの種目)
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いったい人間の能力は何ワットくらいが適当なのか?
車のエンジン出力は何馬力という表現をします。
人が継続的に発揮できる仕事率は0.1 - 0.2馬力程度とされています。

馬力という表現は、蒸気機関の開発で有名なジェームズ・ワットが蒸気機関の能力を示すのに、標準的な荷役馬1頭のする仕事を基準としたことに始まるそうです。
ややこしいのが、車の出力を ps で表す馬力は、なぜかワットの考案した英馬力ではなく仏馬力で表示するようになりました。
1 仏馬力 (PS) = 約 0.986 英馬力 (HP)

これは、車のエンジンの仕様表です。

shuyoushogen-thumbnail2.JPG

エンジンパワーは何馬力と言った方がピンとくるのですが、正式にはKWで表すことになっています。
このように馬力とワット表示を併記してややこしいですが、
1PS(仏馬力)=0.7355kwの関係ですから、上の表の最高出力90KWから馬力換算が 90÷0.7355 = 122[PS]になります。
実際にPS表示では122と表示しています。
そのうちPS表示は無くなるのでしょうね。
人の能力は0.1 - 0.2馬力程度と言われていますが、自転車は脚力を使えるので0.2馬力として、カヤックは主に上半身の力なので0.1馬力としましょう。
1仏馬力 =735ワットですから、カヤックでは 70ワット程度が継続できるワット数としましょう。

2号機のエンジンで僕が継続的に運動する場合のワット数は、83Wでした。
ザックリと想定した人の仕事率(70W)に近い結果が得られています。
計算と実験の比較は、仕事の間違いを見つけるうえで大事なことで、整合性が計算の裏付けになります。

カヌーのアスリートは短時間ですが400W付近のパワーを出せるので0.5馬力以上です。
人の能力(0.1 - 0.2馬力程度)を遙かに超えていますね。
アスリートは様々な筋力トレーニングをしているので、並の人間とは異次元のパワーを出します。
以上で2号機の負荷をワット数で表示することは可能、という結論になりました。
これはエルゴメーターとして重要なポイントです。
運動量を数値化できると次のようなことが可能になります。
・どれだけ運動したかを統計的に見ることが可能
・パフォーマンス(運動能力)の推移が分かる
・エルゴを漕ぐ仲間との比較が可能になる

以上は、力学的な仕事率で表示することに焦点を置きました。
次に人体としてのエネルギー量に変換して表示する方法があるようです。
その場合は、生体の効率を考慮します。
人体は力学的な仕事率に対する効率が20~25%と低いそうです。
従って、人体の運動量で表示する場合は4倍するのが通例になっているようですが、エルゴメーターでは生体エネルギーではなく力学的に計算した出力そのもののワット数で表すようです。

市販のエルゴメーターを調べてみると、KayakProのSpeedstroke Gym Ergometer も力学的な仕事率で表示します。

追加:現行のカヤック用エルゴメータではどのようにパワーを測定しているか
 自作エルゴの場合はブレーキで発生する電力から計算できますが、現行のエルゴは風車を使った空気抵抗式です。
 負荷の強弱は風車を包んでいるケースの窓を開閉して空気の流れを制限することで調整します。
 風車はオン(パドルを漕いだとき)では加速し、オフになったとき減速します。
 オフの減速スピードと風車の重量(正確には慣性モーメント)から空気の抵抗力が分かります。
 これを元に負荷の力が計算できる仕組みです。
 おそらくバンジーの張力も考慮していると思います。

 また、エルゴのメカの状態が変化することもあるので、エルゴ自体に負荷の測定ずれを修正する機能があります。
 一定時間漕ぐだけで良いのですが、オフの減速スピードを再測定して空気抵抗を求めます。
 ストロークには必ずオフ時間があるので常に負荷の力が計算できるというわけです。
speedstroke-grm-ergometer.png
※豆知識:仕事率の単位[ワット]は、仕事率を馬の能力を基準として表すことを考案したジェームズ・ワットにちなんで名づけられた。
posted by エイ at 08:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | エルゴメーター
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