2018年11月18日(Sun)

老齢期の運動を考える〜ボートの鉄人編〜

シーカヤックマラソンの漕ぎ仲間にはすごい鉄人がいるけど、日本のボート界にもすごい鉄人がいます。
しかし生まれつきの鉄人であるはずがない。
それは日々の運動を続けてきたことの蓄積に過ぎないのだと思います。
このブログの目的は健康を保つことなので、鉄人を目指さなくても良いのですが、参考になると思います。

よく1日10分の○○運動で○○がずっと改善できますとか、1日30分の有酸素運動を続けましょうとか言われていますけど、
人によってはそんなに運動できないし、種目によっても違いがあると思います。
ランニングだと自重全ての上下運動なので、大きな運動量です。
カヤックの場合は座っているので有酸素運動になるまでは少しきつめに漕いでちょうど良かったりします。

北九州市の松野範衛さん、昭和15年生まれ(推定)。
74歳でワールドマスターズ大会で優勝という輝かしい成績です。
学生時代にやっていたボートを社会人になってやらなくなり体力も衰えていたが、60過ぎて再びボートを漕ぐよう二なり、日々のトレーニングを行っていらっしゃるようです。
そこまでは目指さないにしても、健康(=体力)を維持するために必要な運動量というのは、どの程度が適当なのでしょうか?
ボートの松野さんの場合はどのように考えているのか紹介します。
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ボート界の格言を体現した世界一(北九州市  市政だより 平成26年5月1日号より)himawari_ph2.jpg

北九州ローイングクラブ 松野範衛さん(小倉北区・74歳)

 「元気なじいさん、ばあさんは世界中にいますよ」と笑う松野範衛さん。彼は昨年9月、イタリアで開催されたシニアの世界大会であるワールド・ローイング・マスターズ・レガッタのダブルスカルで日本人初優勝を成し遂げた。今年の北九州市民スポーツ賞の最年長受賞者だ。ペアを組んだ堀内浩太郎さんは、ローマ五輪で日本代表コーチを務めるなど、言わばボート界の大御所。一方、松野さんは国体の出場経験はあるものの、大舞台での優勝経験はない選手だった。

 松野さんがボートと出会ったのは18歳の時。大学に入ったばかりの頃、ボート部の先輩に声を掛けられた。「体が大きかったので『こいでみろ』と強引に連れて行かれた」という。大学時代は来る日も来る日も早朝から夕方までこいだ。嫌になることもあったが、「大学で始める人がほとんどなので、練習すれば勝てる」と、ボート競技の魅力にはまっていった。卒業後、北九州の企業に就職してからも仕事の合間にボートに乗っていたが、年々仕事が忙しくなり乗る機会がなくなった。

 その後30年以上たち、再びボートとの縁が訪れる。退職した翌年、64歳でまた大学時代の先輩から誘われた。「久し振りに乗ってみたら、レースで5人中4位でした」と思わぬ悔しさが残った。それからというもの、学生時代に教わった「練習したやつが勝つ(Mileage makes champions)」、このボート界の格言を胸に練習に打ち込んだ。週4日はこぎ、2日は自宅で筋トレをする。「長く続けたいので無理はしません。練習量は若い人の半分程度ですが、続けることが大事です」と自己管理は抜かりがない。そして、6度目の挑戦で世界一になれた。

 海外遠征は旅行を兼ねて、必ず夫人が同行するという松野さん。「今は苦労なく、本当にボートを楽しんでいます。高血圧も改善し、働いていたころより元気になりましたね」と、いきいきした声で話す。次の目標は昨年2位だった1人乗りのシングルスカルでの優勝。それを可能にするのは日々の練習だけだということを松野さんは知っている。

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この記事に先立って松野さんが66歳の時に桑野造船のコラムに寄稿した記事があります。
『健康の維持=体力の維持』といった観点から、年齢に応じた目標とトレーニング計画を立てています。
興味があれば読んでみて下さい。
http://www.k-boat.co.jp/column/matsuno2.htm

トレーニング計画を立てる際のデータ集めと緻密な計算がすごいですが、何となくぼんやりと分かりませんか?
[原始体力](その人の最大能力)、[文明体力](運動しない生活レベル)、[寝たきりライン]という体力レベルの想定が独創的です。
年齢ごとの体力レベルをグラフにして推定寿命まで想定しているのがおもしろいし、運動量を数値で計算しているのもレベル高いなあと思いました。
しかし何かのグラフに似ているなあ。
松野さんはモーター関係の会社にお勤めだったことが分かりました。
あの体力のグラフもモーターの負荷曲線に似ているのでプッと吹き出してしまいました。

モーター負荷曲線の例(トルク−回転速度−パワーのカーブ)
20181116-1.PNG
なるほど、グラフを描いて考えるのは得意だったのですね。

緻密な一方で、「適度な運動の[適度]の限界は非常にわかりにくい」としています。
高齢者が若いアスリートのように、体力の限界までボロボロになってトレーニングにはげむ、というようなことはありえないことで、「楽しく長続きする」レベル以上には決してならない。
運動量が適度かどうか、老齢機の場合は自分で試して判断しましょうというスタンスです。

独自の分析、なおかつ「がんばらない」をモットーにトライしていることが持続につながっている。
松野さんの力の原泉は、人生で培った経験を生かして自分にあったトレーニング方法を考え、「無理せず楽しむ」ことを大事にする姿勢だと思います。

ここまで緻密に、且つ高いレベルの運動は真似できませんが、その姿勢は見習っていきたいと思います。
「がんばらない」ことと「楽しみがある」ことが持続につながっている点も納得です。
かといって緩すぎてもダメなんですけどね。
posted by エイ at 08:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康と早朝カヌー
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