2023年02月20日(Mon)

PLB (携帯用位置指示無線標識)の無線局免許更新

シーカヤックで外海に出るときに携帯しているPLBレスキューリンクは海上での救助要請を自動発信する最強かつ最終のレスキュー手段です。
このPLBを使い始めて5年(と言ってもスイッチを入れたことはありませんが)、無線局免許の更新時期が来ました。

以前書いたPLBの記事 → PLBの無線免許申請

一旦起動すれば5Wの送信電波が衛星を通じて海上保安庁に救助要請とGPSの位置情報が伝達されて、迅速な救助を行う仕組みになっている。
また、衛星利用なので携帯電話の電波が届かない外洋でも救助を要請することができる。

PLBKAZI002.jpg (250×517)

このPLBば微弱電波ではないので、電波利用届が必要な無線機です。
無線局の免許は5年間の有効期間であるため、5年ごとに免許の更新手続きが必要となる。

更新は電子申請を使えば家庭からオンラインで完了できるようになっている。
総務省 電波利用 電子申請・届出システムをパソコンにインストール。
実際にやってみると簡単でした。

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前回入力したデータを使えば、手入力する工数は少ない。

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5年間の登録料は2,400円、プラス電波利用料が年間500円かかる。
生命保険よりずっと安い(笑)
もっとも海で死んでから保険料をもらう生命保険よりも、命を助けてもらうほうが比較にならないほど良いですよね!

これでまた5年間、守ってもらいます。
使わないとは思うけど。

2021年12月19日(Sun)

鹿児島での事故

鹿児島でカヌーの悲しい事故が起きました。

亡くなられたのはベテランのカヤッカーでカヌーの友達でした。
仲間の118番通報から1時間20分後に救出されたが命を落としてしまった。
Windyによる推定の海水温は16℃。
水温が低いと救出までの時間的余裕が少ないが、海況や装備によって左右される。
短時間で救出されたにもかかわらず命は失われてしまいました。
詳しいことは分かっていないので今後の報告を待ちたいと思います。

僕たちが判断を誤ったとき、死はあっけなく簡単に訪れることを教えてくれました。
彼とはシーカヤックマラソンでの再会を楽しみにしていたが、もう会えないと思うととても残念です。
ご冥福を祈ります。

−−− 2021/12/23 追記 −−−
錦江湾パドルチャレンジの大会運営側の発表がありました。

今回は大会中の事故ではありませんが、参加者への安全情報の提供など、より良い運営で今後もカヌーのイベントを開催して頂きたいと思います。
ダウンウィンドレース、桜島や開聞岳を望みながらのシーカヤックレース、とても貴重な大会だと思うので是非続けて頂きたいです。

2020年08月29日(Sat)

レスキュー練習_2020

シーカヤッククラブ日本海魚組のレスキュートレーニングでした。
3艇以上で集まるのは久しぶり。

本日は再乗艇の技術向上が目的です。

20200829-2.PNG

座学を1時間やりました。
安定した再乗艇にはアルキメデスの原理が大切だと組長が力説!
異を唱える者もおらす、次第に洗脳されていくメンバー達。
理論を理解したところで練習に入ります。


20200829-1.PNG

一部、グループレスキューもやってるけどね。
パドルフロートありのセルフレスキューと、パドルフロート無しのセルフレスキューを練習。

パドルフロートありのセルフレスキュー
オプション3まで
オプション1・カウボーイスクランブル(パドルフロート無しと同じ、艇にまたがる方法)
オプション2・ヒールフックレスキュー(コックピットに足をかけてフロートも使って上がる)
オプション3・リエントリーロール

最近の艇はコックピットがラージコーミングの艇が多いので、座ってから足を入れることができる。
慣れるとパドルフロート無しで上がるのが楽になり、セルフレスキューというのも大げさな感じです。

自分の写真が無いのだけど仲間がビデオを撮ったので、後日紹介します。

2020年03月20日(Fri)

シーズン初めに思う(海の安全)

カヤックのシーズンが始まります。
川へ、海へ、スプリントの人も。
みなさんもきっと未知の何かに出会えるはず。

やりたいことがありすぎて困るんですが、事故やケガのないようにしないとね、自分の場合はお年寄りなのでね。
海だけじゃなくカヤックトレーナーの本格開発も始めて、より深くカヌーに関わる年になりそうです。

海の安全に思うこと
シーズン始めにあたり海のリスクマネージメントについて考えてみました。
2016年12月に三河湾でお二人が亡くなった事故の教訓から学べること。
多くの事故に共通しているのは、それほどの危険を感じることなく危険な海に出てしまうことじゃないだろうか。

まず、事故後の海上保安庁の注意喚起チラシを見てみましょう。
このような事故が起きないよう、一人一人が教訓として考えることが大切じゃないかと思います。

−−−カヌーは沈することを前提とする乗り物−−−
ロールやセルフレスキューなどの技術を練習して身につけることが基本。
沈して漂流したら、必ず岸まで泳ぎ着けるとは限らない。(距離・風・流れ・水温などに寄る)

海上保安庁もカヌーがどういった乗り物か、よく分かっていると思いました。
たぶん良いアドバイザーがいるのだと思います。

ピンチになったときに生死を分けるのはなんだろう?
水温−の低い海は危険:沈脱したら水温が低いと短時間で低体温症の危険な状態になる
時間−早めに切り上げる:最速でも捜索開始まで2-3時間かかる。捜索終了までの日没まで時間がどれくらい残されているか?
天候−荒れがひどいと捜索隊を出せない。予報だけに頼らず自分でも観察することが大切。
地理−どこに向かって退避行動をとれば良いか、自分の位置、風向き、潮の流れから冷静に判断する。
連絡手段−連絡できなければ救助は始まらない、早めの連絡で捜索の時間を確保する。

僕が特に注意を払うべきと感じているのは水温です。
水温が高いだけで、命が残った事例を経験しましたからね。

技術だけじゃない
技術を高めることは良いことだけど、能力が低くても自分の力と天候を上手に判断できれば、それはそれで立派なシーカヤックの達人です。
でも、レスキューが上手ければさらに安全。

実はセルフレスキューの練習は意外と面白い。
どうやったら安定した再乗艇ができるか、うなずくことありありの世界です。
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ロールが確実に上がるようになると、こんな海も楽しめます。
波の崩れるタイミングを予想しながら越えて行く練習です。
今年の初漕ぎ動画を再編集しました。

2020年02月22日(Sat)

アルキメデスはセルフレスキューができるか?

年に1,2回やっている仲間のレスキュートレーニングの予定を考えているんですが。
しだいに思索の深みにはまって...隊員達の運命は...というお話し。

カヌーを習い始めた頃、カヌースクールでパドル・ストロークの次に習うのはロールでした。
川のスクールだったので沈脱後の水上でのセルフレスキューというものは習わない。
こうやったら上がれると体の使い方とパドル操作を教えてもらったロール。
沈してロールできなかったら泳いで岸に上がるしかないので、沈する度に2回3回と必死でロールしていました。あせあせ(飛び散る汗)

熟達が遅くても、毎年少しずつ練習しているうちに少し余裕ができてきた。
仲間のシーカヤッククラブ員は、ロールや再乗艇についてはあまり積極的ではない人が多く、なかなか上達しません。
平水でセルフレスキューで上がれても荒れた海面だと通用しない。
スクールに通えば早く上手くなるんだけど、なかなか積極的になれない人が多い。
そこで仲間同士で行っているレスキュートレーニングでの座学を考えてみました。
なかなか体得できないのは理解が深まっていないからなので、科学的アプローチで理解することから迫ってみよう。

艇のバランスが安定している状態はどんな重量配分になっているのか?
が理解できれば、体をどう使えばバランスを保てるか、という理解に繋がるのではないか。
セルフレスキューで理解が深まったら、最終的にはロールで水中にあるときに、体をどう動かせばよいかの理解に繋がるのではないか。
「水上の体の重さ」VS「水中の体の重さ」に違いがあることの理解、つまり沈んでいる部分の浮力=『アルキメデスの原理』だ。
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アルキメデスが考えたようにセルフレスキューを考えてみようじゃないか。
一人一人がアルキメデスになって考え、実行してみる。
艇が傾いている方の重量をいかに軽くするか?
水中にある体の浮力を使って艇のバランスをとればいいんだ。

ということで、次回のレスキュートレーニングのキャッチフレーズは、

「アルキメデスはセルフレスキューができるか?」に決定。

座学用のレシピを考えてみよう、カヌーの模型と人形が要るかな?
アルキメデスの原理に異を唱える論客が出てきたらどうしようか?
下に書いた辞典に出ているような解説を押しつけても理解できないよね。
う、ちゃんと説明できないとまずいな。あせあせ(飛び散る汗)

アルキメデスの原理の証明は、いくつか方法があるようですが、水風船で説明すると分かりやすい。
・水風船に水を満杯に入れて1Kgになりました(空気は入れない)
20200221-1.PNG
・水上では水風船の重さは1Kg
・水風船を水の中に入れると、重さはほぼ0になった。
・水風船の体積(水1Kg分)だけ水が押しのけられ、その分が浮力となって水風船を持ち上げた結果、重さが0になった。
と考えるのがアルキメデスの原理の説明。

−− ミニ解説 −−
世界大百科事典 第2版より
アルキメデスの原理 Archimedes’ principle
重力のもとで静止した流体中に置かれた物体は,そのおしのけた流体の重さに等しい浮力を受けて軽くなるという原理。
伝説によれば,シチリア島シラクサの王から王冠の純度を調べるよう命じられたアルキメデスが,風呂に入って水があふれるとともに自分の体が軽くなることから発見したものといわれる。
この原理を理解するには,物体に流体がおよぼす圧力が,物体を流体でおきかえたときと完全に同じ分布をもつことに注意すればよい。
この圧力がちょうど同じ形の流体を支えてそのままの状態を維持するわけであり,その合力が浮力となって働くのである。

2019年07月21日(Sun)

もうガマンできません...出ちゃいました

いい波が来ているのではないか

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と期待したのですが、
カメラを引くと

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波高10cm以下でした。
台風からの贈り物は届いていなかった。

今日はレスキューの練習日
最初から水に浸かるつもりで来たので30℃の気温の中ウェットスーツを着込んだ。
着ただけで暑いんですけど、今日は水に浸かるので。
しかし仲間は島の向こう側へ行ってみたいというので向こう側までミニツーリング。

暑い..漕ぎ漕ぎ..ウェットスーツ暑い..もうダメ


暑くてもうガマン出来ません!
アレをやるしかない...
というわけで、早めに出ちゃいました究極の水浴び


一発目はCtoCのポジションまでスイープで艇を起こしつつ、CtoCでフィニッシュする私のスタンダードなロール。
一年のブランクの最初は加減が掴めないのでパワー入りすぎ。
二発目からはイメージしてきたStorm roll やってみたけど、イマイチなんだ。
CtoCの様に見えるけど実はパドルの動きは全然違っているんだ。
映像では艇が半分起きた後のパドルの動きが見えない。
まだ危なっかしい。
それにこんな静かなところでやっても、あまり価値がない。
波に巻かれたくらいの状況でやってみたい。
ストームトルーパーズへの道はまだまだ未知なのです。

ロールを何回かした後は、脱艇してからの再乗艇の練習。
乗る前にバウを持ち上げて水抜きするのだけど、バウに回って持ち上げるときにパドルのスカーリングでアシストすると上手くいきます。

泳いだときにPFDが顎まで上がってカッコ悪〜。
ついつい緩めに着てしまうけど、せめてウエストのベルトは絞って上がらないようにしよう。
そんなことも海に浸かる機会が少ないから身についていないのだ【反省】。

お昼過ぎて、波のサイズが少し上がってきた。
15cmくらいかな?
うねりが届くのはあと1日かかるかな。

2019年06月05日(Wed)

保安官とキックオフ

海上保安官とのキックオフミーティングがあります。
シーカヤックでツーリングを楽しむみなさんは一度こういう機会に参加してみると思わぬ収穫があったりするのでお薦めします。

ナチャラからの案内を転載します
== 案内 ==
6月29日(土)、舞鶴市神崎の神崎浜海水浴場で アウトフィッターを含むシーカヤッカーと第八管区海上保安部との日本海西部における情報意見交換と保安官のカヤック、カヤッカーへの理解を得るキックオフミーティングを開催することになりました。

今回の開催に係わる発起人としては
舞鶴海上保安部
ナチャラ 北村
グランストリーム 大瀬氏 

6月29日土曜日 13:00〜17:00
神崎児童センターまいまいハウス
〒624-0961 舞鶴市字西神崎浜川端403−3

詳細を下記に追加しました。

画像に含まれている可能性があるもの:屋外、水、自然

ウォーターセーフティーミーティング(仮称)
       〜パドルアクティビティー関係者の集い〜

1 目的
 シーカヤック、フィッシングカヤック、SUP等パドルアクティビティーに係る高い技術・知見を有し、地域の海(福井県〜島根県)をフィールドに活躍しているシーカヤック、フィッシングカヤック、SUPのアウトフィッター、グループリーダー及び経験10年以上のシーカヤッカー、SUP関係の方々に広く参集頂き、活動状況、地域情報、課題等について情報提供を頂くことにより、安全対策・救助を担う第八管区海上保安本部の業務参考とさせて頂くとともに、関係者のネットワークを構築し、ビギナーへの指導体制、海域情報の提供等により、不用意な海上進出による事故、マナー違反によるトラブル等を防ぎ、日本海西部におけるパドルアクティビティの安全な振興に資することを目的とする。
     
2 実施日時・場所
   令和元年6月29日(土)13:00〜17:00
   京都府舞鶴市神崎
・神崎浜海水浴場
  (京都府舞鶴市神崎、神崎浜観光協会 0773-82-5115)
・神崎児童センター「まいまいハウス」
  (京都府舞鶴市西神崎小字浜川端403-3 0773-82-0279)

3 実施内容
@ 実技講習(神崎浜海水浴場)
・海上保安官のパドルスポーツに係る知識・技能習得を目的とする。
A 意見交換会(まいまいハウス)
・八管区内海域(福井県〜島根県)での活動状況や問題点。
・パドルアクティビティー関係者と第八管区海上保安本部との連携、協力。
・その他

4 参加者(予定)
【パドルアクティビティー関係者】
パドルコースト本橋洋一・カヌーワールド西沢あつし・ナチャラ 北村政幸 ・
 【海上保安庁:主催者】(予定)
・第八管区海上保安本部、舞鶴保安部ほか保安部署

5 スケジュール(案)
6月29日 
   12:40   集合(神崎浜海水浴場駐車場)
   13:00〜14:30 実技講習(神崎浜海水浴場)
   14:45〜17:00 意見交換会(まいまいハウス)
   17:00〜      懇親会(まいまいハウス)

6 その他
・本件はマスコミ広報する予定です。

 以下 発起人であるナチャラ北村からの連絡事項です。
【連絡事項】
実技講習について
・実技講習は海上保安官の皆様にシーカヤック・SUPの特性を知って頂くことを目的とし、基本技術を教授します。参加者のカヤックやSUPを海上保安官に乗って頂き、持ち主がレクチャーしていただくことを基本とします。ナチャラでも10艇用意します。

懇親会について
・懇親会(まいまいハウス)を計画中です。BBQ、食材費は割り勘負担で。
・17:00〜20:00 BBQインストラクター指導で、参加者で調理し食事を楽しみましょう。
・事前申し込みで人数を把握し食材を調達します。30人分を予定しています。
・費用は2,500円(1ドリンク付)を予定しています。予約制です。

宿泊について
・「まいまいハウス」は素泊まり2,160円/1人で宿泊可能です。
・キャンプも可能ですが、指定場所で5張り程度となり、テント1張り2,000円と駐車場代1,000円がかかります。
・車中泊は、指定駐車場(神崎浜観光協会管理駐車場)で可能です。(テントを張ることは出来ません。)

保険について
・保険料450円。イベント開催中に起きたハプニングによる怪我などの補償については、加入いただきます保険の賠償の範囲内での対応となります。予めご了承ください。
・保険内容
通院:3,000円/1日 入院:5,000円/1日 死亡:1,000万円
イベントの参加に際しまして、体調にはくれぐれも注意ください。寝不足、2日酔いはご遠慮下さい。心臓疾患など持病のある方は事前に相談下さい。

その他
・30日は希望者で、場所を変えて(未定)半日ツアーを予定しています。ツアー代は要りません。保険加入450円をお願いします。保険内容は上記のとおり。カヌーワールド誌のエリアガイドの取材を兼ねる予定です。

・本件はマスコミ広報する予定です。

参考
・今回のミーティング開催に係る発起人としては
  第八管区海上保安本部 
  グランストリーム・大瀬氏 ナチャラ・北村


  参加申し込みについて

 下記についてご記入いただき 
件名 ウォーターセーフティーミーティング として  natyarakayak
アットマークyahoo.co.jp または メッセンジャーで北村政幸まで送信をお願いします。

 *参加者氏名、年齢 、生年月日(保険加入に必要) *所属団体名または個人として *ご住所 
 *親睦会の参加を希望する、しない
 *宿泊について @まいまいハウス宿泊 Aテント泊 B車中泊 C日帰り
 *30日のツアーに参加する、しない
 *本行事中の発言内容、主催者・メディア撮影の画像はネット、メディア上に掲載されることがありますのでご了承ください。

29日のすべての内容に参加する場合参加費は 
食費2500円、ハウス宿泊費2160円、保険450円  合計5110円です。
キャンプ泊は3000円(5張り)車中泊は指定場所で。
参加費用は受付時に徴収させて頂きます。

29日は昼食を済ませてお集まりください。
30日の朝食昼食は各自でご用意ください。まいまいハウス宿泊者は炊事場を利用できます。


問い合わせは ナチャラ北村まで 携帯 09046421823
           メールは natyarakayakアットマークyahoo.co.jp


2018年10月08日(Mon)

スケグの良いところ

宮古のレースが延期になって、アドレナリン上がっていたので4日連続漕いだら疲れが溜まって今日はお休みです。

先日BZ510のラダーを撤去してスケグをメンテナンスしたので、ちょっと書いてみました。
せっかくラダーが付いているのになんで撤去するのか?
の説明にもなると思います。

所有しているシーカヤックにはスケグ付きの船とラダー付きの船があります。
スケグとラダー、それぞれ使い道が違うので整理してみますね。
というのも、スケグを理解すればシーカヤックの性質も見えてくる。
スケグ装備のシーカヤック所有者も正しく理解して使われた方が良いと思ったので。

ラダーは、見たとおり方向を決める舵です。
ペダル操作で船のお尻を左右に振って方向を変える仕組み。

ところがスケグはラダーよりもっと複雑な話になります。
「直進させるための板でしょ」と思っていませんか?
ほぼほぼ、当たっていますが、それだけじゃないです。

スケグは船のキールラインに沿って、船のやや船尾よりに付いている。
必ず出し入れ操作と角度を調整できるようになっている。
この角度調整がミソなんです。

これは、僕の師匠であるカヌーあいらんどの渡邊さんがクラブ員に話したこと
シーカヤックの風に対する性質をスターンリー(スターンが風下へ流されて船は風上を向く)、バウリー(バウが流されて風下を向く)と表現します。
シーカヤックの船体は普通はスターンリーで設計されている(風上を向くようになっている)。
だから強風になったとき、カヤックは風上を向きます。
スケグというのはスターンが風下へ流れる度合いを調節する装置なのです。

これは説明のために作ったスケグ装備のシーカヤック、エイ510号です。
EI510.PNG
分かりやすくするために、横風で考えましょう。
右手から横風を受けています。
船はスターンリーの性質なので、スターン(船尾)の方がたくさん風下へ流されます。
その結果、船は風上(右方向)へ向くようになります。
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艇長のエイさんはスケグの角度を中間位置まで出しました。
すると、スケグが横方向の抵抗になってスターンを流される量が少なくなりました。
バウと同じだけ流されるように調節すると、船は風上を向くことなく直進します。
EI510_Wind_2.png
艇長のエイさんはスケグの角度を最大の位置まで出しました。
すると、スケグの水中に出ている面積が大きくなってスターンを流される量がバウよりも少なくなりました。
バウの方がたくさん流されて船は風下の方へ向くようになります。
EI510_Wind_3.png
このように、スケグの角度を調節することでカヤックが向く方向を決めることができます。
風が強いとき、船の向きを安定させるシステムとして優れています。
また、スケグを垂直まで出すと艇の横振れを抑える効果もある様です、逆にコントロールの機敏さが失われます。

スケグは船底から出ているので、波で船が暴れても安定して進路を保つことができます。
波で船尾が持ち上げられ、ラダーが空を切っちゃう経験ありませんか?
そんな時でもスケグなら大丈夫。
そんなこともあって、スケグ付きのシーカヤックが好きです。
続きを読む

2018年05月20日(Sun)

グラグラ・プール・レスキュートレーニング - 2018

今日はプールでロールとレスキューのトレーニングをします。
基本はスクールで習うことですが、自分たちでも考えながらやってみようという試みで、クラブ員だけの自主トレーニングです。

昨日の余韻か?気温が上がらない。
午前中は座学と陸トレにした方が良さそうです。
テレビ、動画カメラ、パソコンを持ち込んでビデオを見ながらの座学と陸トレ。

国立能登青少年交流の家の温水プール、今年もお世話になります。
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ビデオ等で座学の後、陸上トレーニングで体の使い方を体験。
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温水といっても暖かいわけではありません。
冷たくない程度まで温度が上がっています。(22℃くらいか?)
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パドルフロートを使ったリ・エントリーロール。
CtoCロールを練習した人なら、確実で楽に上がれるセルフレスキューです。
お遊びじゃなくて真面目に、セルフレスキューのオプションとして。

疲れました。

2016年の グラグラ・プール・レスキュートレーニングです、僕の恥ずかしいロールがいろいろ写っています。

2018年03月31日(Sat)

PLBの無線免許申請

PLBを買って以来、外海ツーリングが無かったので免許を申請することを怠っていました。
シーズンが始まる前に、免許を取っておきます。


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WiFi装置のような微弱電波のものは「免許を要しない無線機」で、無線出力1Wまでは免許不要になるようですが、
PLBは5Wの無線出力があるので無線の免許が必要です。
使用する前に総務省に無線局の免許申請届けを出して、無線局の免許を取得する必要があります。
新シーズンに入る前にPLBを使えるように登録を済ませておきます。
舵社から購入したPLBには、免許申請用紙(難しいところは記入済み)と記入マニュアルが同梱されていました。
分かりやすい記入例なので作業は楽ちんです。
数か所記入して申請手数料の印紙を貼って郵送。
経費は申請手数料が4250円、あとは毎年の年間登録料が600円です。
手順通りに郵送すれば、1月ほどで免許証が届くはず。
しかし、僕の場合はちょっと別の方法で行いました。

電子申請という方法があります。
郵送の手間を省けそうだ。
オマケに電子申請すると申請手数料が3050円になる。
という浮気心に誘われて電子申請でやってみることにしました。
結果的に電子申請は余計に時間がかかったので、マニュアル通りに手書きして郵送した方が絶対に手っ取り早いです。

以降は電子申請する場合の作業経過です。
総務省の電子申請・届出システムのホームページです。
20180320-1.PNG

電子申告には、デジタル署名ができるように準備することが必要です。
電子証明書付き個人番号カードとUSBカードリーダーを使います。
reader_write.png

電子証明書付き個人番号カードは、あらかじめ自治体の役場に依頼して作っておく必要があります。
その他にも制限があって、パソコンは64ビットのOSじゃないとダメ、ブラウザはIE11じゃないとダメ。
申告の作業が出来るまでにいろいろ面倒な作業がありました。
僕の場合は確定申告で電子申告を使っていたから、わりと慣れていますけど。

電子申請のユーザ登録依頼を出す。
個人認証の電子証明書を使って、パソコンに申請の環境設定をする。
電子申請・届出システムをインストールする。
申請用紙をダウンロードする。

ここまでやって記入開始できる準備ができました。
舵社の記入手順を参考にしつつ行ったり戻ったりしながら何とか完了。
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こういった画面で何ページか必要事項を記入していきます。
記入が完了したら、個人番号カードとカードリーダーを使って、書類にデジタル署名を付けます。
デジタル署名完了とともに、インターネットを介して書類が提出されます。

「ビーコンコード及び個体識別番号証明書」の添付も必要です、という修正依頼の通知書が届きました。
スキャナでPDFファイルに変換して電子申請書に添付し、再提出。
で終わりではなく、免許を受け取るための返信用封筒を郵送しないとダメでした。
なんだ、結局、郵送分もあるんだ。
この電子申請のシステムは、総務省側の入力手間が楽になるだけのシステムで、申請者の手間はけっこう大変だ。
手数料安くしないとだれも使わないだろう。
1200円高くても、マニュアル通りに手書きして郵送した方が絶対に楽です。
というオチでした。

遠回りしましたが手続きが終わり、1ヶ月で無線局免許証が届き、PLBの運用準備が整います。
PLB 免許の有効期限は 5年で、ひきつづき使用する場合は、再免許申請が必要です。
また、PLB の電池の保証期間も 5年なので、メーカーで電池交換をするか、新しい PLB に交換することになります。


もしPLBを使ったら、新品と無償交換!
ところで、PLBはまず使うことのない装置です。
普通は一度も使われることなく寿命を終えて廃棄されます。
この製品 ResQLink+ は、もし遭難に遭って使用された場合、そのレポートを書いてメーカーに送れば新品と交換してもらえます。
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そこの考え方は面白いと思いました。
まあ、遭難に遭った時点で使用者はひどい目に遭っているわけで、貴重なフィードバック情報でもありますから。
このしくみは、購入者のほとんどが一度も使用しないことの証でもありますね。

というわけで、ちと回り道をしましたが申請が無事終了して免許が届くのを待っています。
以上です。

2017年11月09日(Thu)

ビワジュウ2017の総括

先月、報告した「ビワジュウの振り返り」の続編です。

野川編集長の「KAYAK~海を旅する本」にビワジュウ2017の報告が掲載されました。

最新号(Vol.58/2017年秋号)2017.11.1より発売
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ビワジュウの報告は、【緊急コラム】命からがら報告  として掲載されています。
僕も "B" としてちょっとだけ登場。(^^;
昼休みの休憩時間に、食堂で食べながら読んでいます。

インシデントの事実報告と主催者・北村さんの弁、野川編集長の見解が書かれています。
今回の縦断チャレンジはツーリングではなく、個々のシーカヤッキングを連絡面でサポートするものであったので、最終的には参加メンバー個々が得た教訓と自戒が総括になるんだと思います。
野川編集長の見解にもありますが、ガイド付きのツーリングやレースではレスキュー体制が整っているが、個々が行うシーカヤックではそういったものを期待できない厳しい条件なのです。
個々がサポートなしで安全に漕ぎ切るためのさまざまな準備が必須であり、万一の事態に備えての通信手段を確保する(携帯電話の通信エリア外ならPLB衛星携帯)、それが前提でないと漕ぎだしてはいけないのです。

個人が持てる通信手段、今や手軽に手に入る時代になりました。
でも、せっかくの通信手段を用意しても緊急時に使えなければ意味がない。
置く場所を熟慮して、どんな苦境でも使えるようにする。
大事な時にバッテリー切れにならないようにする。
当たり前のことのようだけど、怠りなくやることが大切だと教えてくれたインシデントだと思います。

今回に限って言えば、参加者の全員が単独で漕ぐことの準備と覚悟ができていたかと言うと、疑念が残ります。
あるいは、個々が自分のシーカヤック力を知り、完走・リタイヤのあらゆるパターンを事前にイメージしておくことはできていたか?
そこの徹底が足りなかったことも反省点です。

迷える子羊に、安全に漕ぎ切る呪文を授けましょう。
「ぼくはチキン野郎です」「それで正解」「ぼくはチキン野郎です」「それが普通だよ」「ぼくはチキン野郎です」「それは幸運なことだ」

−−− ふり返りの総括 −−−
以上のように、確かに僕たちには足りないことがあった。
漂流に至っても尚且つ見守られていた中にいたことを感謝します。
何より、漂流から生還したことが素晴らしい。
一番ひどい目に遭った人が一番素晴らしい体験をしたのではないかと思います。
自然の中に身を投げ出した時、中途半端は通用しないことを身をもって学んだ。
反省点は多いけれども、得たものはとてつもなく大きかったのではないか?
穏やかな日では体験し得なかった。
琵琶湖と関係者一同に感謝します。
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KAYAK~海を旅する本」、他にも良い記事がたくさんありますね。
−今号の目次−

【巻頭特集】
初秋の陸中海岸・北山崎とトドヶ崎

【特別寄稿】
「香川県沿岸全漕破」という遊び方……杉本雅昭

【緊急コラム】
命からがら報告……北村政幸

【インプレッション】
ナンダこりゃワールド!特別編/SKUK / Romany Surf RM

【連載】
コロコロ旅日記……井上昌宏
僕たちの課外授業・7時間目/SUP……編集部
危機管理コラム・もしも、天気のアテがはずれたら。……中谷哲也
カヤック乗りの海浜生物記・「沖の大夫」編……藤田健一郎
日本カイアックの研究・「高等教育とシーカヤック」……内田正洋

【コラム】
ココから学ぶカヤック魂!・渡辺京二著『黒船前夜 ロシア・アイヌ・日本の三国志』……平田文典

ナンダこりゃワールド!「シーフラッグ」
日本百名岬「7番目・トドヶ崎」


カヤック〜海を旅する本〜
希望小売価格:800円(税別)
発行:Freewheel inc.
責任編集:野川哲也(raindog)

2017年09月06日(Wed)

ビワジュウの振り返り

ビワジュウから帰って、報告が遅くなってしまいました。
気をもんだ人もおられたことでしょう。
ブログ投稿の時間がなかったのと、少し整理してからと思って遅くなりました。

当日のGPSによる全コースです。(漕行70.2kmでした)
20170903_1.PNG

北風が強くなることは分かっていたので、西岸沿いにコースを取りました。
その中で北湖を横断して船木崎に至る区間は岸沿いではないので波風が大きく、危険な場合は湖西へ逃げ込むと決めていました。
時折スプレースカートも水をかぶる程度(波高50cmほど)に育った波の中でのパドリングでしたが、風は比較的安定して吹いており危険性はありませんでした。
波に乗った快適なダウンウィンドパドリングも少しの間楽しむことができました。
とにかく安定の悪いステラーS18R でも転びそうな場面なく北湖を横断して船木崎に到着しました。

ただ、皆さんご存知のように100回に1回、1000回に1回の大きめの波が来た時にバランスが崩れてブレースで対処することも起きます。
また波に乗ったカヤックが急旋回してバランスを崩すこともあります。
安定したカヤックであっても、ブレースなどの基本の練習とラフ水面で漕いだ経験がないと咄嗟のパドルが出ないまま沈します。

北湖を横断して船木崎で上陸し、ビワゴンさんへ現在位置をメッセージしていると、後続のOさんも到着。
彼はバランスの良い人で、SK-1というなかなか難しい船で一度も転ぶことなくゴールしています。
しばし休息の後、後続は来ていないようなので一緒に出発しました。
IMG_20170903_094350.jpg

後続を待たずに出発したのは、ビワジュウは集団のツーリングではないからです。
70kmもの距離があるため、ツーリングだと一番遅い人のペースになり、誰もゴールできません。
ばらけた状態でも各自がレスキューとリタイヤのマネージメントを行い、携帯で連絡を取り合いながらゴールを目指すルールでした。
リーダーのビワゴンさんへ通過状況を随時連絡することが義務付けられていました。

船木崎から先は西岸沿いに進めば波風の影響が少ないので、後は楽勝だと思っていましたが、これは誤算でした。
琵琶湖の沿岸の利用状況により、岸の間際を航行できず岸から離れてしまいます。
おまけに沿岸を高速で走るジェットスキーやウェイクボードの船も多く、それらのおこす波と風波との合成波を受けつつの漕行となりました。
琵琶湖ならではの特殊な状況と言えるかもしれません。

波に苦労しつつ、やっと琵琶湖大橋にたどり着きます。
IMG_20170903_134959.jpg
漕行50kmに達して、ここでの体調は足がつり、腿の前部の筋力が落ちたために後傾姿勢になり、漕力はガタ落ちの状態。
長時間の風波中のパドリングで消耗していますが、体力そのものは疲弊していないので、漕行には問題ありませんでした。
「いつ転んでもロールか再乗艇できるな」、と自分の状態を再確認して進みます。

ここまで来れば先は楽になると思っていましたが、南湖エリアでも苦労は続くのでした。
琵琶湖大橋を過ぎると東風に変わり、西岸を進むカヤックは東からの育った波に遭遇しました。
なにか約束を裏切られたような気分です。
最終目標の瀬田の唐橋へ向かうため、どこかで東岸へ渡る必要があります。
しかし南湖中央部は船の往来が多く危険に見えたので、このまま西岸沿いに進み、安全なタイミングを見て東岸へ渡ると決めて進みます。
瀬田方面の橋がはっきりと見えたところで、ちょうど船の往来がないタイミングがあり東岸へ渡りました。
東岸へ渡って、最初に近づいた橋を瀬田の入り口だと思って通過したら間違いで、矢橋帰帆島の橋でした。
間違いと分かってGPSで場所を確認し、瀬田の入り口へ向かいます。
ここで岸からの返し波に遭いました。
返し波とぶつかった波は急角度で立ち上がるので行程中で一番転びそうな場面だったと思います。

4時52分に最終ゴール「瀬田の唐橋」に到着。
到着の報告をメッセージで送り、後方のリタイヤの詳細と連絡が取れない一名の捜索が始まっていることを知りました。
後続のSK-1も到着、最終ゴールへ到達できたのは2人だけでした。
2人が無事に漕ぎ切ったことをねぎらうのもつかの間、行方不明の彼との電話連絡を試み、無事を祈るばかりでした。

万一、漂流してもこの時期の水温なのでカヤックにつかまってゆっくり泳げば東岸へ流れつくだろう。
しかし、予想に反して夜になっても連絡が入らないままです。
水温は暖かいので朝まで持ちこたえるだろうという観測はありましたが、早めに上がっていて欲しいと深夜まで東岸を見回ったり。

翌朝、無事に救出されたと連絡が入り、安堵しました。
北湖横断の途中で沈して、漂流するに至ったようです。
ビワゴンさんはほかの一名を上陸させるために今津へ向かっていたので、彼は単独の漕行中でした。
セルフレスキューも電話連絡もできなかった経緯はよくわかっていませんが、またいつか機会があればお話しすることとしましょう。
ビワジュウは6回目にして、遭難者を出してしまった。
参加者として、いろいろ反省しています。
また、水温の高い時期を選んだのはビワゴンさんの最後の安全弁、最悪の漂流となっても体力の低下が少なく、広い琵琶湖といえども流される範囲は限られている、命だけは助かるという計算もあったと思います。
いづれ、状況が整理されて改善すべき点などが見えてくると思いますので、カヤッカーの安全のための資産として、役に立てればと思います。

今回は、琵琶湖の難しさの一面を知ることができた、素晴らしい経験でした。
このチャレンジに参加させていただいたビワゴンさんに感謝します。
また次回のビワジュウにチャレンジできれば、琵琶湖の別の顔も見られるんじゃないかと思っています。
またチャレンジする?
まだ数年は大丈夫、いけるさ。
続きを読む

2017年05月28日(Sun)

乗ってきた!

今日はロール&レスキューの練習です。
車載カメラを用意しました。

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能登島でロール&レスキューの練習をしました。


CtoCでロールしたんだけど、回転が速過ぎました。
年の初めの一発目は不安もあって、どうしても力が入るパワーロールでした。

能登島の海岸の砂は白っぽいので、水中も明るい。
海中から出て青空がサーっと開けると、壮快です。

S18Rにはサイブレースが無くて、腰のホールドもフィッティングして無いので、膝をコーミングに入れただけで艇をホールドしなきゃならない。
この状態でロールできるのかと思ったけど、何とかできました。
サイブレース、追加したいです。

瀬立モニカ選手 2017 ICF Paracanoe World Cup ハンガリー・セゲド第2戦・第2位
おめでとうございます。
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ついに、レールに乗ったのか。
いいですね。

2017年03月18日(Sat)

PLB:遭難信号発信機

シーカヤック本格シーズンまで間があるので、新しいレスキューグッズを検討しています。

  → 入手しました。続編記事は PLBの無線免許申請

シーカヤックの救援要請に決定的なグッズが使えるようになりました。
それは”PLB” (個人用の遭難信号発信機:Personal Locator Beacon)

PLBKAZI002.jpg PLBKAZI003.jpg

PLBが発する遭難信号は人工衛星によってキャッチされ、救助機関(海上保安庁)へ伝達されます。
衛星経由なので、日本の全海域で有効です。
(世界共通の船舶救助システムを利用するのだけど、国別の電波法規があるので海外品は基本的に使用できない)

日本国内仕様の製品が、ResQLink+ PLB ACRレスキューリンクプラスです。
税別価格で46,000円、無線局登録の申請料が4,250円 です。

こんな便利なものが使えるようになっているんですね。
5万円で安全を担保できるのだから、海へ出る人は迷わず装備しても良いのではないかと思います。
以下、このシステムが実際に運用されているのか、確かめたことを書きます。

PLBを起動させたときの、情報伝達と救助の流れをまとめてみました。

1 遭難者がPLBを起動する(アンテナをセットして起動ボタンを1秒間押しつづける
  3秒おきにPLBのフラッシュランプが点滅し、上空の人工衛星に向けて405MHz、5Wのパワーで発信し始める
  GPSの位置情報、個人の識別情報も伝えられます

2 静止軌道衛星と低軌道衛星、二つのシステムのコスパス・サーサット衛星がPLBの信号をキャッチ
  遭難信号はただちに遭難信号地上受信局(LUT:Local User Terminal 日本では群馬県に設置)に送られます

3  地上受信局が受信した信号は、霞ヶ関の海上保安庁本庁で分析され、管区海上保安本部又は羽田RCC(救難調整本部)に伝達される。

4 救助の開始
GPS位置情報により救助隊は付近に到着し、PLBの121.5MHzの電波を直接受信し、電波の来る方向に向かって捜索する。
どの方向から電波が発信されているかを調べながら、遭難者を発見する。

という仕組みになっています。
第九管区海上保安部(新潟)に電話で問い合わせたところ、間違いなく上記の伝達システムになっていることを確認しました。

PLBの製品仕様
・本体は防水性あり、浮力あり
・PLB本体を取り出して起動させれば、世界のどの海域からでも確実に遭難信号を送ることができます
・バッテリーは24時間の作動で尽きます(交換可能なリチウム電池)
・バッテリーは使わなくても5年で交換する必要がある

PLBの使い方はこちら   http://www.seaplaza.jp/hpgen/HPB/entries/44.html
起動方法の動画はこちら


PLBの管理責任
遭難信号を発する無線機器なので、運用・管理上の注意があります。
・海上の遭難以外には絶対に使用してはいけない(陸地での遭難には使えない)
・誤って一瞬でも起動してしまった場合は、118(海保)に誤作動の連絡をしなければならない
・無線局登録の更新(5年)の手続きが必要(更新を忘れると、識別リストから除外されて遭難信号が無効になる、または罰則がある)
・廃棄時の責任として販売業者に引き取ってもらうことが推奨されている。

どういう風に携帯するか?
荷室はダメですね、考えれば分かります。
PFDのポケットがいいですね、自分とPLBが離ればなれにならないことが大事。
コーミング内のデッキの下、レスキューバッグに入れてマジックテープで留めるのはどうかと思ったけど、ダメですね。
想定外のこともあるので、体から離さないことを考えるべき。

最後の砦として衛星携帯電話を準備したこともあったけど、これからはPLBですね。

2016年12月22日(Thu)

シーカヤックの基本に立ち返る−2016編

少し早めのクリスマスのプレゼントが届いた人もいるみたいで、良かったですね。
誰かにプレゼントを何かしようと考えるのも、楽しいですよ。
予算は...財布と相談してね。
・息子には車の雪かき棒
・娘には受験勉強のポストイット
...なんというケチオヤジだろ、しかし一生懸命考えて今年はこれ。
せめてリボン着けよう。

時々、基本に立ち返り、基本を見直すことは良いことです。
年の最後に、今年のシーカヤックの体験から基本に立ち返って基本を確認する企画。

バックレスト(背もたれ)の話からしますね。

cockpit.jpg

バックレストは何のためにあるのか、改めて考えてみよう。

昔はツーリングの時にバックレストに寄りかかりながらのパドリングをしていたように思います。
それが、あのひと言で使わなくなってしまったんです。

あるとき、たまたまツーリングに参加していただいた熊野エクスペリエンスの上野さん、一漕ぎ終わって
「みなさん、バックレストは休息のときに使う物ですよ」
「漕ぐときは使いません」
それでハッとしたんです。
バックレストに背もたれしながら漕いでいる人が多いってコト。
自分もバックレストに腰を預けて漕いでいたかもしれない。
その時からバックレストを意識しだしたんですね。
漕ぐときは使わない。

それからずいぶん経ちますが、早朝シーカヤッキングは朝のトレーニングなので、カヤックにバックレストは着いていません。
最近ではツーリングのストロークにもトルソーの捻りが入るので、バックレストに当たると擦れて邪魔です。
能登島一周の40kmを漕いだときでさえ、ほとんど使っていないと思う。
もうそれが当たり前になっている。

ただ、車の運転と同じで、長時間漕いだら腰をリラックスするのにバックレストは有効なはずです。
たまに腰をバックレストにグッと押し当ててのけぞるとかして、リラ〜ックスしたり。
休息時の支えにもなります。
カヤックの道具は何のためにあるのか?
道具の意味を理解して、正しく使うことに心がけたいですね。


次に、最近とみに感じることで、仲間同士で海へのツーリングを楽しんでいる人たちの多くが、なんとなく後ろめたさを感じているだろうこと。
シーカヤックの基本技術について。
基本は大事だけど、基本を知らなくても楽しむだけならなんとなく出来ちゃうシーカヤック。
確かにレスキュー体制のあるイベント等に参加して楽しもうって人にはロールは必要ではありませんけどね。

エキスパートのエスコートなしでレスキュー体制のない海に出ようというなら別です。
シーカヤックの基本をスルーしないで、スクールに参加して基本を身につけよう!
最近、基本をスルーしちゃった人たちが、海での経験の豊富さから自分は中級、または上級者だと思っているシーカヤッカーが結構いるような感じがして。
たしかに知識やパドルさばきはしだいに上達するから、その気持ちも分かるけど、へんてこりんな認識があたりまえになるのは良くないので敢えて取り上げます。

特にシーカヤッカーの間で軽視されがちな基本がエスキモーロールではないでしょうか?
ロールは基本ではなく、上級者の技だと思っている人も以外と多いみたいで...
あるいは、ロールが出来なくてもセルフレスキューは出来るから、必要ではないと思っている。
しかし、それは都合の良い解釈に過ぎません。
そもそもカヤックは、ロールできるように設計された船なので、やり方さえ覚えれば当たり前にロールできる船なんです。(一部の競技用カヤックはロール出来ませんが)

なぜエスキモーロールが基本の技術なのか?(学校の授業で言えば必須科目)
あなたが再乗艇の達人だとして、沈脱から再乗艇する場合のリスクを考えてみよう。
・再乗艇に時間をくってるうちにどんどん流される危険(不運にも場所が悪いと事故になる)
・沈脱による体力の消耗
 1回の沈脱ならまだしも、そういう海況では2度以上起こることもあり、体力を奪われるリスクがある。
・特に冬場の沈脱は危険
強風下の能登島一周で経験しました、レスキューされた仲間はベテランでしたが、低体温症に陥り2度目のレスキューの後は平衡感覚を喪失して、漕ぎを続行できる状態には戻りませんでした。
エキスパート不在のツーリングでこういうことが起きたら恐ろしいです。

・最後に...出艇時には予想できなかった厳しい海況になった場合、沈してもロールでリカバリーできたら消耗と時間を最小限に留めることが出来るので、生還率が高まる。
まさに、ピンチに陥ったときに生死の分かれ目を決定づけるスキルです。
ロールは、シーカヤッカーにとっては生命を守る技だから基本の技術なんですね。

カヤックの師匠であるカヌーあいらんどの渡邊さんから習い始めたころ、静水でロールが出来れば初級。
流水中や沖の波間でロールが出来るようになれば中級と言われました。
(静水での確率が上がれば、流水でもだいたい問題なくできるようになります)
スクールでは、出来ないところを重点的に教わるので、必ずロールの練習も入ってました。
僕はなかなか上達が遅くて完璧じゃないけど、ロールの確率は高くなったし、今でも練習しています。
自分の場合は、なまじロールが出来るからといってパドルフロートも補助として忘れないように気をつけたいと思います。

基本をスルーしないで、早めに身につけるために、スクールへ行こう(特にシーカヤッカーはロールを身につけよう)。
川で習うのもいいですよ。
イメージトレ−ニングしてみるなら、ここを見ると良いかも。
「京都・メルヘンチャペル」さんのロールマスターコース:http://www.marchenchapel.jp/school_rollmaster.html
たぶん、スクール初日で出来るようになります。(そうなるように指導してくれます)

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2016年05月21日(Sat)

恥ずかしいのも全部見せちゃうから(パート2)

プールトレーニング録画ビデオのつづきです。

レース艇で初ロール。
Sharp6はダウンリバーレース用の船です。
バルクヘッドとハッチを追加してシーカヤック仕様にしてあります。
グラグラで、プールの中ほどまで持っていくのがおぼつかない。
あぶないと思った仲間が助け船に入ったが...
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おわっと、簡単にロール出来ましたが、上がってからのバランスにも注意なのでした。

カメラのバッテリーがつきて、ビデオは終わりです。
このあとはリエントリーロール、グループレスキューのトレーニングでした。

リエントリーロール(沈脱したあと自艇に潜り込んでロールする)は、海上での事故対応に是非とも身につけておきたく、昨年から取り組んでいる技です。
起き上がるだけならさほど苦労しない。
ただ、せっかく起き上がってもコックピットからの水の侵入が多いと危ない状況が続くので、成功とは言えません。

この技は、水中でスプレースカートのセットをいかに手際よくできるかがポイント。
今回もスプレースカートの前後だけはセットして、なんとか起きたけど左右の隙間からの水の侵入が多い。
スプレーを手早くセットする陸上トレーニングが必要ですね。

最後にグループレスキュー
スタンダードなT字のレスキューを、する方とされる方一回ずつやりました。
たまーにやっておかないと、「あれっ?どうだったっけ」と忘れちゃうので。

今回勉強になったこと:
ウィングパドルはパワーがあるので、ロールは起きやすい。
PFDの浮力は、ロールに必要無いってことは、発見でした。
スプレースカートの装着をもっと上手くなりたい。

このトレーニング、年に1回だけでも、みな年々上達していきますね。
また来年が楽しみ。

2016年05月18日(Wed)

恥ずかしいのも全部見せちゃうから(パート1)

プールトレーニングでは上がり方を変えたり、沈の状況を変えたりして20回くらいロールしています。
タムテツさんが楽しみにしているらしいので、恥ずかしいのもたくさん公開しちゃいますね。

僕のロールの基本はCtoCです。
トレ−ニングもCtoCから入ります。
一年ぶりのロールで加減が掴めなくて、回りすぎた。
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回りすぎだけど、ローブレースでリカバリーしてるでしょう? ワッハッハ。

次は新技の披露。
本人はスイープロールをやってみたかったのですが...仲間がフォワードストロークみたいだと言います。
110_sw1.JPG
確かにそのようなフィニッシュです。
スイープで入りながら、体の近くで水を捉えているのと、フィニッシュの形がフォワードストロークですね。
これは失敗から出た新技、名付けて「フォワードロール」。

パドルをウィングパドルに変えてのロールです。
特に違和感ないですが、ブレードのパワーがあるのでロールしやすいです。
スイープロール2連発、僕はCtoC専門なので、スイープロールになっているのかどうか?
114_sw1.JPG
です。

ほとんどCtoCですが、スイープをちょっと入れたものです。
とっさに出るロールはこれかもしれません。
114_ccs3.JPG

右のCtoCの後に左のロールもやってみました。
110_Lcc.JPG

ありゃ、思いっきりヘッドアップで、ダメな見本ですが、それでも上がっちゃいました。
恥ずかしいのも見せちゃいましたよ。

膝を抜いた状態で沈する。
マラソンレースでは膝でホールドせず、膝立て姿勢で漕いでいるので、その状況での沈を想定しました。
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セットに少し時間がかかっていますね。
水中で何が起こっているかというと、膝立てで沈すると腰がシートから浮いています。
まず膝をホールド位置に入れて、コーミングを掴んで腰をシートに押しつけてからセットに入ります。
この作業を焦らずにできれば問題ないでしょう。

これはプールサイドのロール初心者にCtoCのレクチャーをしているところです。
CtoC ロールは、原理が理解しやすいので初心者に勧めています。
教えるとなると、自分でも確認しながらの演技です。
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これはセットが分かりやすく、かなり良くできた見本になりました。
見本が良かったのか、このあと挑戦者もCtoCの初ロールに成功しました。

ビデオ編集に時間がかかるので、今日はこの辺にしてまた次回つづきを...

2016年05月16日(Mon)

プールの日に忘れ物

出がけにチェックしたつもりが、抜けていた物が2つありました。
PFD(一般的にはライフジャケットと呼ばれています)と、Sharp6用のスモールコックピットのスプレースカート。
2艇持っていったけど、スプレースカートのサイズが違うんです。

PFDを着けずにロールしたことがほとんど無かったのですが、PFDの浮力が無くてもだいじょうぶだろうか?
まあ練習用プールということで、PFD無しのロール練習となりました。
スプレースカートの方は、仲間がスモールコックピット用のスプレースカートを貸してくれた。

定点カメラをセットして、カメラに自分のロールを録画します。
IMGP0761.JPG

録画ビデオを見ると、修正する点が良く分かります。

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人のロールを見てあーした方がいい、こうした方がいいといい加減な批評していますが、自分もさほど上手くないんですよ。
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自分の番だね。
PFD無くてもだいじょうぶ。
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ネオプレーンのハットにメガネ、鼻栓をはめているところです。
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上がってきたところ。
これは何ロール?
新技です、グフフッ。次回ビデオ公開します。
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2016年05月15日(Sun)

プールトレーニング

年に一度のプールでのレスキュートレーニング。
今年も国立能登青少年の家のプールを使わせていただきました。

水中に顔を浸けるだけでもちょっと面倒ですよね、でも今回やってみたいこともあって、実は楽しみにしていたんです。
・昨年から使い始めたウィングパドルでのロール。
・レース漕ぎで膝を抜いた状態で沈して、水中で膝を入れてロールする。
・レース艇Sharp6でのロール。

いざ出発、と思ったら、ありゃ?
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パドルを出したら、3月以来漕いでいないものでポギーが着いたままだった。
情けないね、2ヶ月漕いでいない。
それに、昨日は草むしりして少し腰に痛みが出ている。
今日のトレーニングだいじょうぶかぁ〜?

しかし、トレーニングでのロールは快調なのでした。
次回、写真などをアップします。

トレーニングが終わり、プールから出てきたシーカヤック達。
天気が良くてポカポカ、僕たちも日なたぼっこ。
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お昼も施設の食堂で、なかなかのボリュームな食事でした。
そして本日のプール利用料は、昼食代込みで560円でした。
なんと財布に優しい施設ですね。

2015年06月14日(Sun)

プールトレーニングの日

今日はシーカヤッククラブのプールトレーニングの日でした。
ロールに特化した練習です。
転んだときに一番楽に上がれるのは、なんと言ってもロールですからね。
早朝カヌーは早めに上がって、国立能登青少年の家へ向かいます。

温水プールなので、少し水温を上げてもらったようです。
おかげで長時間、水中にいることが出来ました。

最初は、人間だけプールに入ってスイープストロークの確認のはずがパドルスイム?
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不思議なことに、毎年、参加者の誰かがロールに開眼して、いきなりマスターしちゃいます。
僕ももっと上手くなりたいんだけど、スイープからC-to-Cの合わせたようなロールのワンパターンで。
午前中3時間やって、昼を食堂でご馳走になり、
芝生でごろり横になったら、やりきった感いっぱいの状態。
まだ午後から2時間あるんだけど、みんな乗り気じゃない。

しかし、強化部長がハッパをかけてくるし、やりたいパターンもあったので午後練へ再突入しました。
沈脱後に逆さの自艇に潜りこみ、ロールで起き上がるヤツをやったんだけど、水の侵入が多くてロールできなかった。
これで上がっても大量の水の侵入で艇は不安定な状態で危うい。
やっぱ、潜ってスカートをセットしてからロールかな?
セットしやすいスカートが欲しいな、と本日はここまででした。

プールにでかいシーカヤックを持ち込みました。
川のプレイボードはC-to-Cでも軽くロールできちゃうけど、シーカヤックは回転の抵抗が大きいので、C-to-Cだけではちょっと辛い。
僕のは基本的にC-to-Cなんだけど、下手なスイープ入れてからC-to-Cに移ってます。

C-to-Cだけバージョン。
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下手なスイープ入れてからC-to-Cのバージョン。
1506014_3.JPG

スイープが入っている分、少し余裕がでていますね。

自分のロールを見ていると、頭が少しヘッドアップ気味で後半のCの形が曖昧です。
なにやってんだオレ、みたいな。

仲間のカヤックも貸してもらい、ロールのしやすさを比較してみました。
一次安定のしっかりしたカヤックは、ロールの後半はカヤックが助けてくれるので、起きやすいです。

2014年06月08日(Sun)

プールトレーニングの日

今日は、シーカヤッククラブの「グラグラ・レスキュートレーニング」でした。

クラブ始まって以来、初のプールを借りての練習です。
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俺は ”CtoC” が出来ればいいんだと、いつまでもスイープロールが出来ない1名の動画を載せておきます。



場所は、国立能登青少年交流の家
それぞれが、何かをつかんで帰ることが出来たようです。
こんな良い環境で練習させていただき、感謝してます。